筋筋膜性疼痛症候群・トリガーポイント施術 ラムサグループ

「関連痛」という不思議な現象

 

当サイトの「痛みの相談室」でもご紹介していますが、ある女性の症例から「関連痛」という不思議な現象をご説明したいと思います。

右腰の痛みが左のお腹の指圧で治った。 F.Kさん(52歳女性)

 トリガーポイントセラピーの研究会に参加した折、「どこか調子が悪い方はいませんか?」という事でしたので手を挙げました。
 日常の動きでは特に痛みを感じないのですが、運動をする時、左前方に上体を倒そうとすると右の腰が痛むので気になっていました。

 「筋肉が縮んで行く所に痛みの元がある事が多い」という説明を受けながら、右の腰とは全然関係のない左のお腹を押されたら、鋭い痛みを感じました。この痛みはそこを押されるまではまったく感じていませんでした。
 そしてその場所を1~2分押さえて頂いてから左前方に上体を倒したところ、もうあの右腰の痛みは無くなっていました。

関連痛とは

このF.Kさんのケースから、現在行われている一般的な治療の不備が見えてきます。現在医療機関などで行われている一般的な治療は、基本的に「痛んでいる所」を対象に行われています。痛んでいる所に湿布を貼り、低周波治療を行い、注射を打っているわけです。
 

しかし、この方のケースのように、痛みを感じている所に原因がない場合は、痛む場所をどんなに治療しても改善しないわけですから、痛みから解放されずに「痛みの放浪者」となる人が多いのも不思議がありません。このように痛みを感じている所とは別の所に原因がある現象を「関連痛」と呼びます。この痛み方は神経の走行に沿って現れませんので、「神経痛」ではなく「関連痛」と呼ばれます。

実は痛み方には3つの種類があります。

 ①痛む場所にトリガーポイント(痛みの原因)が存在する。
 ②別の場所にあるトリガーポイントの痛みを感じている。(関連痛)
 ③痛む場所にもトリガーポイントがあり、別の場所にある関連痛も感じている。

①の「痛む場所にトリガーポイントがある」場合は、そのトリガーポイントが弛めば痛みが改善しますので、従来行われている治療法でも改善します。しかし、②の場合のように、「別の場所にあるトリガーポイントの痛みを感じている」のであれば、痛む場所を治療しても何の効果も得る事ができません。
 ③の場合は、痛む場所にもトリガーポイントがありますので、痛みはある程度軽減されます。痛みが軽くなった感じや、痛みの感じが変わったと感じる場合もあります。しかしこの場合も、他からの関連痛を感じていますので、痛む場所だけの治療では完治しません。

特に腰背部の痛みの場合、関連痛を感じている事が多いので、通常の痛み治療では軽減しません。この事も「痛みがなかなか治らない」原因の大きな要素です。

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