筋筋膜性疼痛症候群・トリガーポイント施術 ラムサグループ

トリガーポイント治療の基本=「カーペットクリーニング理論」

私は以前ビル管理の会社に勤めていたことがあります。ビルを丸ごと管理しますので、その一環としてカーペットクリーニングなどの清掃も行っていました。

業務担当の責任者の方から「カーペットクリーニング」のやり方について、話を聞いたことがあるのですが、実はこの話が「痛み治療」にもそのままあてはまりますので、ご紹介したいと思います。

この会社では従来はカーペットのクリーニングを行う際、

  1. あちこちに出来ているシミをひとつひとつ取る。
  2. その後全体の仕上げクリーニングをする。

という手順で行っていたそうですが、この責任者の方はこのやり方は不合理だと感じて手順を逆にしてやってみたそうです。

  1. まず全体のクリーニングをする。
  2. 残ったシミを処理する。

先に全体のクリーニングをすると、シミの大部分がきれいになり残るシミは僅かだと言うことが分かり、作業時間を大幅に短縮する事が出来たそうです。また、シミ取りを先に行った場合、きれいになりすぎて他の部分とのバランスが取れなくておかしくなる事もあったのですが、その点も全体クリーニングを先に行うことで改善することが出来たとのことでした。

【トリガーポイント治療に置き換える】

これをトリガーポイント治療に置き換えますと、「患者さんが訴える痛点や触診で見つけたトリガーポイントをひとつひとつ治療する」という方法は、シミ取りを先に処理するクリーニングと同じ事になり、時間も手間も掛かる上に患者さんへの負担も大きくなります。

ところが、身体全体を先に整えますと緩和するトリガーポイントや消失してしまう圧痛点が沢山あります。この方法では患者さんへの負担も少なくなりますし、治療時間も短縮できます。また治療効果も上がりやすくなります。

全体を整える方法としては次の様な方法を用います。

  1. 重力反応による身体の偏りを正す。(側方バランス、前後バランス、捻れバランス)
  2. 機能障害から見た偏りを正す。(主動筋と拮抗筋のアンバランス、寛骨周囲の筋のバランスチェック、連鎖のチェックなど)

このようにして全体を整えますと、二次的、三次的に生じていたトリガーポイントは緩和もしくは消失しますし、身体の治癒力が大幅に改善しますので、この後に行う局所の治療がスムーズに進みます。局所にとらわれず、まず全体を整える視点が大切です。

トリガーポイント治療を行うには、「カーペットクリーニング理論」が重要だと考えています。

ramtha / 2010年6月15日