筋筋膜性疼痛症候群・トリガーポイント施術 ラムサグループ

医療従事者に慢性痛の概念がない

医師をはじめとする「医療従事者」に慢性痛の概念がない・・・という文章を読まれるとショックを受ける方も多いでしょう。慢性痛で長年困っている方は特にそうでしょう。しかしこれは現実の問題なのです。

名古屋学院大学の松原貴子氏は「痛みのケア―慢性痛、がん性疼痛へのアプローチ」という書籍の中で、次のように述べられています。

「そもそも医師の処置が正しいのかどうかを論ずる前に、多くの医療者のなかに慢性痛や筋肉に関する概念がほとんどないというのは悲しい現実である。痛みは急性痛と慢性痛とでは病変がまったく違うため、治療法もまったく別のものとなる。(中略)「痛み止めと湿布で様子をみましょう」、この不適切な処置を続けることは、ある意味、患者放置、医療放棄と言えよう。この放置期間中にも慢性痛は悪循環路線を進み、どんどんと悪化の一途をたどっていくこととなる。そして、「治らない」と訴える患者に、最後の砦とでも言うべき(何でもかんでも)「心因性疾痛」の診断を下し、「どこも悪くないのだから、大丈夫」と“痛みが実際に存在する”患者に言い放ち、診療は(一方的に)終了する。この患者は二度とその病院には来ないだろう。そして、ドクターショッピングを繰り返していく。これでは、いつまでたっても慢性痛患者は救われず、その数は増えていく一方である。(後略)」

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の視点がないと痛み治療はうまく行きません。例えばX線やMRIで異常が見つからなければ、痛みの原因が特定できないわけですから、上記のように「とりあえず 痛み止めと湿布で様子を見ましょう・・・」という事になります。2週間ほどで改善する方もおられますが、湿布や痛み止めだけでは改善するどころか、ますます悪化する方もおられます。

医療機関に通っても改善がみられないため、他の医療機関、代替医療へとドクターショッピングが始まります。筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の視点で治療をしていただける所に出会った方は幸運ですが、そうでない方は「慢性痛症」という新たな病気へと進行して行きます。

急性痛と慢性痛は病態が違うという視点は医療従事者も治療家の方にも大切な視点です。

ramtha / 2010年8月14日