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「選挙制度」

昨日の毎日新聞で「シルバー民主主義」という言葉を目にした。初めて見た言葉で何事ならんと読んでみた。
要するに、少子高齢化の社会では有権者に占める高齢者の比率が高くなり、高齢者の意見で国の政策が引き摺られることになる恐れがあるという。問題提起のキーワードのようである。
 
国会議員は多くの有権者の支持を得る為には、その要望を国の政策に反映させなければならない。選挙の有効投票の多数を高齢者が占めるとなれば、高齢者の望む政策の実現に努力することになる。その結果、高齢者の福祉に多くの予算が割り当てられ、教育・雇用・子育てなど若者に対する施策が疎(おろそ)かになり、国の将来に影を落とすことになるという論旨である。
 
これを是正するには、選挙の度に言われる若者の投票を促すため、ITによる通信投票を導入するとか、有権者年齢の制限を引き下げるなどの思案が考えられているようだ。
 
通信投票の導入は良いとして、有権者の年齢引き下げは何歳とするのか。現行の満二十歳を二年引き下げ十八歳とすることが有力と言われているが、それでどれだけの若者の意見を汲み上げることが出来るのだろう。その効果はあまり期待できないのではなかろうか。
などと思いを巡らしてみると、今まであまり考えてもみなかった国政選挙について、さまざまなことが疑問になってきた。暇に任せて考えてみることにする。
 
そもそも現行の国会議員選挙において、立候補者の人物、識見、主張を有権者はどれだけ知って投票しているだろう。姻戚や仕事の関係などで知っているという人も居るだろうが、それは極く少数で、タレントなど日頃テレビに登場する人物以外は、ポスターや選挙公報で初めてという場合が大半ではないか。有名人とは、今日ではテレビ画面の露出度の多い人を意味し、今日の選挙では、知名度においてスタートラインを揃えることはもはや不可能と思われる。
 
② 次に、従来の選挙で見る限り、候補者を選ぶ基準となる選挙公約が抽象的・概括的で、判断材料としては不十分ではないか。
    「国民の生活が第一」を党名とする政党もあるようだが、それだけでは何の政策を重点としているのか定かではない。
    例えば「社会保障の充実」と言っても、医療・子育て支援・年金などさまざまな分野があり、同じ子育て支援でも、育児休暇制度を企業に義務づけること・育児休暇明けの職場復帰・保育所への補助金支給等々あり、候補者の重点がどこにあるのか知り難い。
    
③ また候補者によっては、社会保障など、自ら専門とする分野については、具体的な政見を掲げているが、安全保障・外交など他の分野については何も触れていないなどと言う場合もある。
    そうした候補者でも当選して議員となれば、専門外の事案でもその採決にあたり、一票を投じることになるが、選挙民は選挙の時点では、彼がその事案についてどのような考えを持っているか分からないまま投票している。
    こうしたプロセスによって決められる国の政策は選挙民の過半数の支持を得たものとは言えないのではないか。
    
④ また同じ選挙区の立候補者の政見を比較しようにも、A候補者は経済振興・財政再建に  ついては詳細に政見を述べているが、外交・安全保障には触れてなく、B候補者は逆に  外交・安全保障には詳しく、経済・財政には何もしめしていないなどということで、比  べようも無いということもある。
 
こう考えてみると、現行の選挙制度には幾多の欠陥があると言わねばならない。ではどうすれば良いだろう。
 
 まずは選挙区ごとに立候補者全てにアンケートし、その回答を選挙区ごとに公表することにしてはどうだろう。
 
 アンケートでは、内政・外交など政治課題の全般に渉ることが望ましいが、より具体的な質問設定となると余りにも多岐に渉り、焦点がぼけることも考えられるので、当該選挙時点での国民的関心事に絞ることでも良いのではないか。今までの選挙公報に掲げられた抽象的な公約よりはましではないかと思われる。
 
選挙制度については、選挙の都度、その欠陥が指摘されるが、選挙が終われば、マスコミも新しい政界地図に関心が移り、忘れ去られてしまうようである。
民主主義の基本が選挙にあるのいうのなら、まずは選挙制度を少しでも良くする努力が必要ではないか。
素人の愚見を並べてみたが、諸賢のご批判を仰ぎたい。
 
(平成二十五年六月九日)
 

ramtha / 2013年11月10日