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「マスコミの役割」

先頃、安倍内閣閣僚の資産公開の記事が新聞に掲載されていた。政治家が職権を悪用して私腹を肥やしていないかと監視する目的で、内閣交代の度に行われているようである。
以前は閣僚本人について行われていたが、今では配偶者をはじめ子どもに至るまで掲載されている。

恒例のことではあるが、この記事を見るのは、他人の財布の中身を覗き見るようで、あまり気持ちの良いものではない。

大臣の分はまだしも、子どもの分まで掲載するのは、マスコミがとかく問題にしたがる、プライバシーとやらの侵害になるのではと思うが、どうだろう。特に未成年の子どもの場合、友達仲間の話題になるようなことはないのだろうか。子どもの心理的負担にならねばと思うのは年寄りの杞憂に過ぎないのか、気になる。

一方では、子どもの名義に付け替えるような事例があったのかとも推測されるが、そうだとしたら、情けないかぎりである。国民としては、政治家に聖人君子を求めるものではないが、国政を担う者としての品位ぐらいは保ってもらいたいものである。

ところで目まぐるしく変転する世界情勢、日進月歩の科学技術などはもとより、想定外の天災地変や、善良な市民を巻き添えにする事件など、広く読者へ届けるべきニュースは、素人が想像できないほどあるに違いない。にも拘わらず、政治の本筋から縁遠いこのような記事に、紙面の一ページをまるまる当てているのは、新聞社の見識が疑われる。



マスコミが一般読者に代わって、政治家の活動を監視する機能を有していることは確かであるが、閣僚の資産公開記事を掲載することで、国政の監視役を果たしているなどと思っているなら、思い上がりも甚だしい。もう少しまともな報道はできないものか。例えば、国会議員の活動状況を監視し、その成績を報道するなどしてはどうだろう。

多額の歳費を受け取る議員の最低限の任務は、国会で政策を審議する事にある。まずは、毎月、全議員の出席状況を一覧表にして紙面に掲載してはと思うが、私が不勉強なのか、そんなものは目にしたことがない。

誌面の片隅ではあるが、首相の動静については、毎日詳細に報道されているようである。全議員についてあれほどのものは求めないが、せめて国会開催日の出欠ぐらいは報道すべきものではないか。尚、欠席者については、欠席の理由を添記されることが望ましいことは言うまでもない。

また、重要法案をはじめ採決事項については、賛否いずれの態度を示したか、読者に報告すべきことではないか。次の選挙の投票先を決定する最良の資料となるが、これも今までなされたことはないようである。

門外漢の私には、これらの取材にどれ程の労力を要するものか分からないが、全国各地を飛び回る取材などに比べれば、いとも簡単に実現出来るに違いない。

政治家の私生活を暴いたり、些細な失言を、まるで鬼の首を取ったかのように、デカデカと報道するような下品な記事をしばしば目にするが、そのような取材に費やすエネルギーを、地道な努力に向けてはどうが。読者の新聞離れが取り沙汰されているようだが、今日の新聞社にとって最も大事なことではないか。



(平成二十五年二月二十日)

ramtha / 2013年5月19日