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「未成年者の生活保護世帯に思う」

このところ広島県呉市で発生した未成年男女数人による友人殺害事件が連日マスコミに取り上げられている。
十六歳の少女が殺人事件の主犯であることに先ず驚いた事であるが、彼女が幼児の時から母親の育児放棄を受け、今では生活保護費の受給者として、独立して生活していたと聞いては二重に驚かされた。なお、全国的にはそうした未成年者の生活保護費受給者が少なからず居ると聞かされては、三度驚愕したことである。
 
顧みると昭和三十年代、日本経済の高度成長により農村から都会への集団就職が始まった。その頃から人口の都市集中、核家族化が急速に進行したが、三種の神器と言われた電化製品の普及と土地家屋の高騰は、勤労者所帯に夫婦共働きを促し、日本人の生活は激変した。
 
経済が右肩上がりに発展していた時代は、大半の勤労者も生活環境の変化に順応することが出来、昭和元禄と言われる豊かな暮らしを享受したことであったが、経済発展が頭打ちとなると、限られたパイの争奪が熾烈となり、社会の格差が問題とされるようになってきた。
 
健康保険・国民年金と並んで世界に誇る社会保障制度の一環である失業保険・生活保護も、それまでは一次的なセーフティーネットとして本来の役割を果たしてきたが、バブルの崩壊によって、社会格差の固定化が次第に進み、失業保険・生活保護費の支給期間の延長が求められるようになってきた。
 
私もそうした社会の変化と共に、離婚の増加やシングルマザーの出現など、家庭崩壊への潮流を薄々感じてはいたものの、未成年者を世帯主とする生活保護世帯があることは知らなかった。
 
家庭崩壊で社会に放り出された未成年者の救済の為に、未成年者を独立した生活保護世帯と見なし、こうした措置が取られてきたのだろうが、彼等の生活を支援しまともな社会生活の軌道に載せてやるには、他にもっと適切な処置は無かったのだろうか。
 
単に生活保護費を現金支給して、あとは本人の自立に期待するというのは、周りに親兄弟など近親者を持たない彼らには、余りにも過酷なことではないか。金銭など経済的援助はもとより必要だが、それにも増して、彼らの抱えている問題の解決に、親身になって協力してやることが欠かせないことと思われるが、どうだろう。
 
逼迫した財政にある今日の地方自治体に、そうした事を求めるのは、無理なことかも知れないが、国の将来を背負う世代の健全な育成は、何にもまして肝要なことではないか。
田舎者の私には財政措置についてどうしたら良いか分からないが、日本の将来を憂いている識者は、政府首脳にも限らず、財界をはじめ各界に多くおられることと思われる。そうした人々の衆知を集めて即刻活動してもらいたいものと切に願っている。
 
(平成二十五年七月二十二日)       
 

ramtha / 2013年12月13日