筋筋膜性疼痛症候群・トリガーポイント施術 ラムサグループ

「李下の冠・瓜田の履」

昭和初期、旧制中学の漢文で習った「李下(りか)の冠、瓜田(かでん)の履(くつ)」と言う諺を耳にしなくなって久しい。今の若い人たちはご存知だろうか。子や孫のために説明しておく。

出典は忘れてしまったが、正しくは「君子は李下に冠を正さず、瓜田に履を納(い)れず」と読まれる。現代語に翻訳すれば

「立派な人は李(すもも)の木の下で冠の曲がっているのを直すと、李の実を盗むのかと疑われるからそのような事はしない。また瓜田(瓜畑)の中では、脱げた靴を履き直すと瓜を盗むのかと疑われるから、それもしない」となる。

つまり人から疑われそうな事はしないように心がけよという教訓である。

一強多弱の上に胡座(あぐら)をかいた安倍政権は、緊張感を失ってしまったのか、このところ不祥事が続発している。昨年の小渕通産大臣の選挙民買収に始まり、森法務大臣の団扇配布、西川農林水産大臣の収賄、さらには下村文部科学大臣の同様な疑惑など、目に余る事件の多発である。

閣僚に聖人君子を期待しないにしても、国政の重要な立場にある者として世の親たちが我が子へ説明し難い行動ぐらいは慎んでもらいたい。

また昔は、商売を家業とする家には「政治には関わるな」と言う事を家訓とするところが多く、政治家は財産を消費する職業と見られていたもので、井戸塀という言葉さえあった。政界に乗り出して私財を失い、井戸と塀だけしか残らないと言うのが、当時の社会通念であったという。

井戸塀とまではいかないまでも昭和三十二年外務大臣に就任、日米安保条約改定、日中国交回復などに尽力された藤山愛一郎氏は、大日本製糖社長、日本商工会議所会頭から政界に転じ、ずいぶん私財を投じて活動されたと聞いている。

政治家が蓄財できる職業のようになったのは、ロッキード事件で実刑判決を受けた田中角栄元総理の出現以降のことであったと記憶している。

今日の閣僚諸君よ、毎朝「李下の冠、瓜田の履」を唱えて登庁し、その職務に専念するよう心がけてもらいたい。

聞く所ではスポーツ選手の世界では、ドーピング検査に引っかかると、数年間公式試合の出場停止処分や、永久追放の処分を受けることとなっているとか。
政治家も「政治と金」の問題で摘発された者は、政界から永久追放とするぐらいしなければ、こうした事件は根絶できないのかも知れない。

(平成二十七年二月二十八日)

ramtha / 2015年6月30日