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「ゼロ時間契約」

イギリス下院の総選挙を五月七日に控え、毎日新聞は「岐路に立つ連合王国」と題する連載記事を掲載している。その中で与野党の論戦の争点の一つとして「ゼロ時間契約]があるという。

英国の昨年の経済成長率は二・八%と主要七カ国トップである。だが野党は、キャメロン首相(保守党党首)が社会保障費を削減する一方で、大企業や富裕層に対し減税した点を挙げ「貧富の格差が拡大した」と攻撃する。

その象徴になっているのが「ゼロ時間契約」であるという。聞き慣れない言葉で疑問になった。
解説によると、出勤日や働く時間を決めず、雇用主からの依頼に応じて働く「ゼロ時間契約」は学生や主婦など柔軟な勤務に就きたい労働者にとってはメリットがある

だが、あらかじめ働く時間を定めず、企業側の要請で働いた時間の分だけ賃金が支払われるこの雇用契約は、企業側は忙しさの程度に合わせて人手を調整できるため人件費を抑えるメリットがあり、大手レストランや小売りチェーンを中心に急速に広がり、最新の政府統計では英国の労働者の二・三%に当たる約六九万七千人がゼロ時間契約で働いており、過去一年で約十万人増加している。

野党労働党のミリバンド党首は、「搾取的なゼロ時間労働の蔓延を止める」として規制導入を掲げるほか、富裕層向けの最高税率引き上げなど格差是正策を打ち出しているという。

一方、経済界は規制に反対の立場だ。一九六〇から七〇年代に労組によるストライキの多発や国有企業の非効率的な経営で経済が停滞。八〇年代のサッチャー改革で、解雇規制の緩和が進んだことが経済の復活につながったとの意識が強い。

キャメロン首相は四月十五日、政権公約を発表した際、経済成長によって雇用を生み出したとして「保守党こそが『真の働く人』の党だ」とする一方、最低賃金で働く人の所得税減税など貧困対策を盛り込んだとしている。

わが国でも、派遣労働者の増加とその待遇の改善が問題とされている。またアメリカでも中国でも貧富の格差が社会問題となっているようである。

顧みれば、人間社会は左に振ると怠け者が増加する悪平等に陥り、右に振ると思いやりのない極端な格差を生じ、なかなか公正妥当な位置に安定することは無いようである。

いずれかに振れる事は致し方ないとしても、せめて振れ幅が小さくならないものかと思うが、最近の傾向はかえって大きくなっているように感じているのは私だけだろうか。皆さんのご意見を伺いたいものである。

(平成二十七年五月四日)

ramtha / 2015年7月28日