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「北京の『持たざる』若者たち」

昨日は「実像の見えない中国」について鈴木幸一氏のコラムを引用したが、今日もまた毎日新聞の「経済観測」に掲載されている大武健一郎氏(ベトナム簿記普及推進協議会理事長)の「北京の『持たざる』若者達」と題する次の一文を借用転記する。

北京は至るところに植栽されたバラに彩られて、カラフルな街になった。現地の大学で約十年教えているが、学生もずいぶん変わった。
以前は地方出身の学生たちは、北京市内に永住できる北京戸籍が与えられる国営企業などに就職しようと必死に勉強していた。今やそんな熱気は感じられない。中国全体が豊かになり、生活レベルが上がったこともあるが、土地バブルの激しさが影を落としている。
地方の学生は北京戸籍を取得できても、家を買うことが難しくなった。一流大学を卒業して、月八千元(約十六万円)もらえる企業を断って、あえて月四千元の地元企業を選んで地方に戻る学生も多い。

土地バブルで、巨額の富を得た人たちもいるが、そのチャンスに恵まれなかった多くの人たちは自宅の値上がりを喜ぶ一方、祖父母、父母、子供の三世代が一軒の家にしがみつき、働ける者全員が働いてなんとかやっていくということになっている。物価の上昇も激しいからだ。
貯金しても独立する家を購入する資金を手に入れる事は至難で、結婚さえできない男性も多い。
北京の場合、息子が結婚する際にマンションを買って与えるのが一般的だが、最低三千万円もするため、それができない両親を持つ息子達はなかなか結婚できない。

一方親の自宅が北京にある学生は、逆にやる気に欠けているという。地方から来た学生は懸命に勉強しても北京に住める給与は期待できず、田舎に帰るか、北京に残って無気力になるかだともいう。

北京市内はきれいになり、庶民の生活レベルは上がったが、一部の土地成金の若者が高級外車を乗り回す一方、多くの若者は、金持ちになる機会さえもなく、やる気を失っているようだ。

これを読んで、日本の学生は戻って行く田舎はあってもしかるべき仕事がないのが実情で、少子高齢化と共に近い将来消滅が予想される地方市町村が少なくないと言われている。

中国の実情はよくわからないが、私には危惧されるのは日本の足下のように思われる。石破さんが地方再生担当に就任し苦労されているのだろうが、まだその効果は耳にしていない。どうなっているのだろう。

(平成二十七年五月三十日)

ramtha / 2015年11月19日