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「中国留守児童」の悲劇

出稼ぎといえば、東北の農家から、農閑期に現金収入を求めて都会に出てくる人々が、私のイメージにあるが、消費者の米離れと農家の高齢化で、最近はあまり耳にしなくなった。

ところが経済格差の著しい中国では、貧しい農村から夥しい人々が都会へ出稼ぎに行き両親不在の「留守児童」が全国で6,100万人もいるという。
今朝の毎日新聞では

中国南部貴州省の農村では今月九日、出稼ぎなどで両親が不在だった家庭で、子供四人が農薬を飲んで自殺する事件があり、社会に衝撃を与えている。

親が出稼ぎなどで不在の「留守児童」は、全国で6,100万人にのぼるとされ、事故や事件に巻き込まれる子供も多い。(中略)

中国メディアによると、貴州省の北西部畢節市で、五~十三歳の兄妹が、家で農薬を飲んで死んでいるのを近くの住民が見つけた。
両親は約九百キロ離れた広東省などに行っており、長男は妹三人の面倒を見ていた。
長男は「ありがとう。死ぬ事は長い間の夢でした。」との遺書を残したという。

母親は中国メディアの取材に「自分の生活費を稼ぐのが精一杯で、どうしようもなかった」と話した。(中略)

貴州省は一人当たりの域内総生産が約二万三千元(約四六万円)と上海の約三割で全国最低。また農村戸籍の子供は都市で教育が受けづらく、子供を置いて行かざるを得ない事情もある。(後略)

という記事を載せている。

これを見て初めて知ったこと、感じたことなどを書き留めておく。

① 両親から離れて暮らす「留守児童」が6,100万人というのには驚いた。全人口が日本の約十倍とすると同じ人口比に当てはめると、日本では610万人の「留守児童」がいることとなる。とても考えられない数字で、その対策もどうすべきか、戸惑うばかりである。

② 中国の沿海部と内陸部で経済格差があるとは、かねて聞き及んではいたが、これほどとは思わなかった。

③ 都市戸籍と農村戸籍の問題は、中国政府でも以前から、いずれは解消しなければならない問題とされてはいたようだが、いまだに解決されていないものと思われる。しかし、都市戸籍と農村戸籍の区分を、撤廃したら、多くの農村人口が一挙に沿岸部都市に雪崩(なだれ)込み、収拾がつかなくなるに違いない。

④ 長男の遺書を見ると、両親を恨むこともなく、周囲の人々への不満を訴えることもなく、ただ「ありがとう」と書かれていたとは、見たこともない中国農村の子供のことながら、あまりにも哀れで、胸を締め付けられる思いがする。

⑤ それにしても世界各国の非難を浴びながら、中国がフィリピン沖に建設している人工島工事は、6,100万人の「留守児童」を放置しても、強行しなければならないものだろうか。私には、中国政府の判断は常軌を逸しているとしか思えない。習近平首席よ、この長男の遺書に、一度は目を通してもらいたいものである。

(平成二十七年六月二十一日)

ramtha / 2015年12月3日