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「分からない中国」

集団的自衛権を巡る安全保障関連法案騒ぎの後は、習近平の訪米のニュースが新聞紙面を賑わしたが、気がつけば九月も末である。九月分の新聞紙を片付けるべく取り出したが、米中首脳会談の行われた月末の紙面には、中国に関する記事が目につく。日付順に列記して、老衰した頭の中を整理してみる。

(1)米が協力姿勢、逃亡の容疑者送還

中国で40億元(約755億円)を流用した事件に関与し、米国に逃亡した中国共産党幹部の元妻が24日米国から広東省広州に送還された。25日付の中国各紙が伝えた。中国当局は汚職に関与して海外に逃亡した党幹部の刑事責任追及を強めており、米中首脳会談に合わせて米国側も協力姿勢を示した形だ。また胡錦濤前国家主席の元側近令計画前党中央統一戦線工作部長の弟の令完成氏が、中国の国家機密を持って米国に亡命した疑いが持たれており、中国は米側に送還を強く求めるとみられる。

送還されたのは、広東省の中国銀行の支店に勤務していた幹部の元妻。流用は2001年に発覚したが、元妻は1994年に偽装結婚した上で渡米した。09年に米国ラスベガスの裁判所が幹部と元妻に対しマネーロンダリングなどの罪で懲役刑を言い渡し服役していた。

また中国当局が4月に公表した100人の手配リストに含まれていた浙江省温州の元企業幹部、楊進軍容疑者も米国から送還された。中国側が18日に発表した。楊容疑者は、元浙江省建設庁副庁長の楊秀珠容疑者の弟に当たる。

(2)途上国支援2400億円 中国が「南南協力」

新たな開発目標に関する国連総会特別首脳会合2日目の26日、中国の習近平国家主席が演説し、中国政府として20億ドル(約2400億円)の途上国支援の基金を設立すると明らかにした。「南南協力」の一環としており、国連で初めて演説した習氏は「最大の途上国」としての存在感をアピールした。

基金は、前日に採択された「持続可能な開発のための2030アジェンタ」を途上国が履行するためのもの。
特に発展が遅れている国を対象に、投資額を2030年までに120億ドルに増やすことや、15年末に返済期限を迎える政府間無利子融資の債務を免除する方針も明らかにした。
習氏は「あらゆる国に国際的な意思決定に参加する権利を与えることが重要」と主張。中国が提唱する「一帯一路」(陸と海のシルクロード経済圏)構想や、中国主導で設立する「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」を通じた開発目標実現への意欲を示した。

(3)習首席、来月下旬に訪英

英王室は28日、中国の習近平国家主席と彭麗媛夫人が10月20日~23日の日程で英国を公式訪問すると発表した。10月の訪英は既に発表されていたが、日程は明らかになっていなかった。中国の国家主席による公式訪英は2005年の胡錦濤前主席以来。

(4)中国共産党、最高裁幹部の党籍剥奪

中国共産党中央規律検査委員会は29日、最高人民法院(最高裁)の副院長(副長官)を解任し、党籍を剥奪したと明らかにした。最高人民検察院(最高検)は同日、収賄容疑で容疑者を立件したと発表した。身柄を拘束しているとみられる。
習近平指導部が推進する反腐敗運動の一環で最高裁の幹部が立件されるのは初めて。

(5)中国出稼ぎ労働者の苦境

中国経済の絶頂期を数十年にわたり牽引したのは出稼ぎ労働者の一団だった。彼らは各都市に集まってTシャツを縫製したり、米アップルのスマートフォン(iPhone)を組み立てたり、アパートや五輪スタジアムの建設に携わったりしていた。おかげで農村部の住民が新たな消費者層に加わってきたが、一方で大きな代償を支払う人も多かった。現在、出稼ぎ労働者の多くは、景気減速で生活を安定させるのに苦戦している。

北京から南に約250キロ、とうもろこし畑に囲まれた西郭荘の村では、労働年齢の男性を見かけることが稀になって来ていた。だが今年は不動産ブームの衰退とともに脇に追いやられた多くの男性がいる。

三人の父親であるワン・ホンシンさん(39)は「今は苦しい時期だ」と話す。十代から中国北西部の各地にある建設作業現場で働いてきたが、ここ二カ月間は自身が保有する農地の一画を耕して過ごしている。「労働者が多すぎ賃金が下がっている」という。

多くの学者によると、農村部から都市部への移住は過去最大規模になった可能性がある。この結果、中国の人口十三億七千万人のうち都市部に住む人の割合は1978年の18%以下から現在は55%に膨らんだ。

中国の戸籍制度では出生地でしか公共サービスを受けられないため、都市部では出稼ぎ労働者向け社会福祉制度の抜け穴がさらに大きくなっている。こうした制約のため、労働者の多くは教育や医療サービスが受けられる故郷に子供たちを置いて出稼ぎに行かざるを得ない。

中国婦人連盟によると、中国の子供の五人に一人が、一人親あるいは両親共いない環境で育っている。それでも多くの労働者は、都市部での不確かな生活を望んでいる。

四川省生まれのデュアン・アンチンさん(35)は、南部の工業都市である東莞市で十年以上働いてきた。そこで両親と妻、9歳の息子と暮らしている。「私たちは皆ここに定住しているようなものだ」。デュアンさんの働く工場では乗り物玩具など米マテル社の製品を生産していたが、8月に閉鎖。デュアンさんは数百人の労働者と未払い賃金を請求するため抗議活動に加わった。

こうした騒動は以前より一般的になっている。香港の非営利団体「中国労工通訊」によると、一月以降、中国では労働者による抗議行動やストライキが1,600件以上発生しており、すでに前年の1,376件を上回ったと言う。地方当局は警察官を送り込んでストライキを解散させたり、抗議者を拘束したりするなど、時に強硬手段をとってきた。もっとも、当局が労働者をなだめる場合もある。

デュアンさんは東莞市で一時的に当局に拘束されたが、最終的には、地方当局が未払い賃金の九割を支払うことを提案した。

以上目に止まった記事を並べてみたが、

一、(2)は習近平国連総会のデビューであり、(3)は夫婦揃っての訪英で、外交の晴れ舞台登場である。これを見ると習近平が国家主席としての地盤固めが終わり、名実ともに第一人者としての力を内外に誇示するほど、その地位が安定したもののように受け止められる。

二、(1)と(4)は、集金平が就任以来掲げてきた汚職追放が、今も引き続き行われていることが窺われる。と同時に、汚職追放作戦はこれをもって終了したのか、まだ今後も続くのかは分からない。いずれにしても、党幹部の汚職に対する一般大衆のガス抜きの効果はあったものと思われる。

しかし、相当厳しい摘発が続けられたことによって、中堅層から上の社会には暗い影を落とし、活力の停滞が生じてはいないだろうか。その結果がどんな現象をもたらすかは分からないが、気にかかる

三、習近平が国連演説で言明した途上国への経済援助やAIIB設立や、一帯一路と称する陸と海のシルクロード計画など、壮大な構想を聞かされると、先頃の上海市場の株暴落から想像される中国経済の減速は何だったんだろうと迷わされる。しかし(5)の出稼ぎ労働者の苦労話はバラ色の未来話の裏側で、貧富の格差に喘ぐ大衆の姿が、やはり中国の現実ではないかと思われて来る。

四、いずれにしても、これまでのようなハイスピードの経済成長はあり得ず、かつての一人っ子政策による少子高齢化も加わって、これから中国経済が急速に下降して行く事は間違い無いようである。
地理的にも近い我々日本人としては、その変化がなるべく緩やかに、ソフトランディングであることを願うばかりである。

(平成二十七年九月三十日)

ramtha / 2016年2月7日