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「武器輸出解禁の是非」

今朝の毎日新聞に日中友好協会会長の丹羽宇一郎氏が「武器輸出国家戦略の正当性」と題する次のようなコラムを書かれている。

安保関連法制定の動きと歩調を合わせるように、わが国の武器輸出ルールの見直しが進められている。
日本は、武器輸出三原則で武器や武器製造関連設備等の輸出を禁じてきた。しかし、安倍晋三首相は昨年1月、一定の要件を満たせば武器輸出を認める「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。武器移設三原則の撤廃である。今月1日に発足した防衛装備庁は、武器や武器技術の研究開発から武器の購入、輸出窓口等を担う。
昨年6月にパリで開催された陸上・警備品の見本市「ユーロサトリ」には、日本企業が初めて参加して、世界の注目を浴びた。

経団連は今年9月、武器輸出を「国家戦略として推進すべきだ」との提言をまとめた。背景には日本経済の低迷や、家電などの民生品が中国企業等との競争にさらされて、メイド・イン・ジャパンの存在感が揺らいでいることもあるようだ。

日本は戦後、戦争を放棄した国として、平和国家ブランドを築き上げてきた。経団連が国家戦略として、武器輸出の推進を提言するのはいかがなものだろう。どんな説明をしたところで、武器は人を殺傷する道具。その売買をめぐっては「死の商人」と言う言葉もまとわりつく。

平和国家の一員としての存在感を高めてきた日本企業が、複雑な国際政治に巻き込まれかねない武器関連分野に参入していくことに、どれだけのメリットがあるのだろうか。実益としては雇用創出も限定的であり、反対の極にある国民生活と結びつきの深い医療や教育に比べて、経済へのインパクトは予想外に小さなものであると思う。

何よりも、一般国民の抵抗が強いと思わざるを得ないが、いかがなものだろう。それぞれの企業が考えるべきことだろう。

先月の国会で成立した集団的自衛権関連法案の審議過程で、野党は自衛の範囲を逸脱する恐れがあるものとして反対し、政府はあくまで自衛権の行使にとどまるものと答弁してきた。

わが国の戦争放棄を定めた平和憲法も自衛権まで放棄したものではなく、他国からの攻撃に対しては反撃し得るものとの解釈が定着し、自衛隊の存在も今では違和感なく国民に受け入れられている。
しかし、今日世界各地で発生している戦争では無人機による攻撃や遠距離ミサイルなど、昔はなかった諸々の最新兵器が登場し、その戦闘が先制攻撃によるものか、即応防御であるのかも、第三者には判別し難い場合も少なくない。

とすると、複雑に絡み合った国際情勢の中で、丹羽氏の言う日本の「平和国家ブランド」を今後共維持して行く事は、なかなか難しい課題であると言わねばならない。

しかし、戦後七十年一度も他国と銃火を交えることなく今日まで築いてきた「平和国家日本」は、世界唯一の貴重なブランドであり、未来永劫を失いたくない日本の宝である。

それを考えると、昨年安倍政権が武器輸出三原則を撤廃したのには、私は賛同しかねる。自衛のために武器を保有する事はやむを得ないことではある。しかし、相手が同盟国といえども、一旦輸出したら、そこから先は転売されるなどして、誰の手に渡るか分からない。という事は、その武器によって、他日、日本人が殺傷されることになるかも知れないではないか。

そもそも武器は人を殺傷する道具である。できることなら、この世に武器の存在を許さないに越した事はないが、それはまだ夢物語に過ぎない。しかし可能な限り減らしていく努力をすべきで、その意味から武器輸出はすべきでないと言う丹羽氏の説に私も賛成である。

(平成二十七年十月二十九日)

ramtha / 2016年2月15日