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一月十四日 「タイの汚職博物館」

昨日の毎日新聞に「タイに汚職博物館」と言う珍しいタイトルの記事があった。古今東西、人間社会には汚職がつきもので驚くことがないが、「汚職博物館」とは何事ならんと読んでみた。面白いので書き留めることにする。

「あなたは今、警察官から交通違反の切符を切られたそうです。どうしますか?」タイの首都バンコクの首相府脇に「国立汚職博物館」がオープンした。社会にはびこる「袖の下」の追放には、不正行為をしないと言う意識を若いうちに植え付けることが重要として、幼稚園児から大学生を中心とする見学者を受け入れている。

タイでは交通違反をしても、現場で警察官に300バーツ(約千円)ほど渡せば見逃してくれると言うのが半ば常識だ。成績を水増してもらうために学生の親が教員に付け届けをしたり、行列の前方に割り込むため係員に金を渡したりと「袖の下」への罪悪感は希薄だ。軍人や政府高官の汚職も枚挙にいとまがなく、博物館には大型汚職の事例がずらり。計約1,800平方メートルのスペースを10ゾーンに分けて汚職の歴史などを紹介している。

入り口の前には「明日テストがあるのに勉強していない。あなたならどうする?」「大きい会社に入るため、履歴書の経歴を詐称するのは当然?」などの質問が並ぶ。若者に身近な事例で善悪を問い、汚職につながりかねない不正の芽を摘もうと言う試みだ。案内役のアーメン・ボウォンスワンさんは「大人には賄賂は当然と言う固定観念がある。学生のうちから意識変革しないとタイの社会は変わらない」と話す。博物館にはこの日、東北部のウドンタニラチャパット大ら70人余りの学生が訪れていた。男子学生ナタクリット・ムンチャナさん(22)は、身の回りに小さな不正行為はいくらでもあると打ち明ける。「金持ちになってうまく世の中を渡りたいと思っていたけど、少しだけ考えが変わったかな・・・」とはにかんだ。

汚職は古今東西珍しいことでは無いが、「汚職博物館」を作って道徳教育すると言うのは、未だかつて聞いたことがない。中にはどんな仕掛けがしてあるのか、見てみたいものである。いずれにしても世界的にも珍しい試みで、処罰や訓練によらない自主的学習によってどれだけ効果をもたらすか興味深いことである。その効果を見るには時間を要することであろうが、タイ政府の担当部局では犯罪統計を記録して五年後、十年後には公表してもらいたいものである。

ramtha / 2016年4月8日