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二月七日 「欧州の反イスラム運動」

シリア内戦と過激なイスラム国(IS)を逃れて欧州へ押しかける難民については、昨年九月十四日「大量難民の受け入れについて」で、ドイツのメルケル首相の人道的対応に敬服するとともに、いずれは限界に達することを危惧する私の予測を記したことである。

また十月二六日「難民を受け入れるドイツ人」では、中には無作法な難民も居るにもかかわらず、気長く濃やかに対応するドイツ人に感心するとともに、異民族との共生の経験の少ないわれわれ日本人に同様な対応は為し得ないのではと記している。

さらに十一月二九日「パリのテロ事件で感じたこと」では、ベルギー在住のイスラム過激派がパリ市内四ヵ所で行なった同時多発テロ事件を取り上げ、風俗習慣、とりわけ宗教を異にする人々の共生の難しさを痛感したことであった。

ところが今日の毎日新聞では「移民排斥十カ国でデモ~欧州反イスラム団体連携」と題する記事が次のようにレポートしている。

欧州各国で六日、反イスラム団体などによる移民や難民の排斥デモがあり、ドイツ東部ドレスデンでは八千人が行進、フランスでは参加者が警官隊と衝突した。内戦下のシリアなどから難民らの大量流入が続く中、各国の反イスラム団体は国境を超えた連携を図った。

ドイツのメデイアによると、デモはドレスデンの反イスラム団体「西洋のイスラム化に反対する愛国的な欧州人(PEGIDA)」などが呼びかけた。ドイツ、フランス、英国、ポーランドなど約十力国で行なわれた。
最も規模が大きかったのはドレスデンのデモ。ドイツ以外では、参加者が百~二百人にとどまるところもあった。

ドレスデンでは参加者が、難民らの受け入れを決断したメルケル首相に対して「出て行け」と辞任を求めた。ポーランドの首都ワルシャワではPEGIDAの幹部が数百人を前に「一緒に(欧州)のイスラム化と戦おう」と演説した。

フランス北部のカレーでは、約一五〇人のデモ隊が暴徒化。警察が催涙ガスを使用し、一部参加者を拘束した。チェコの首都プラハでは、約一五〇〇人がデモに参加した。

これを見て感じたことを整理してみる。

① 難民の受け入れについては、当初からドイツのメルケル首相が積極的に受け大れを宣言していたが、他のEU諸国の首脳はメルケルの人道主義に反対表明はし難いので、渋々賛成というように見受けられていた。それが当初の難民に加えて、より豊かな生活を求める移民が大量に押し寄せることになり、受け入れ側の人々も、もはや理想論をかなぐり捨てる心境になったということだろう。

② また先頃はドイツで難民の集団が婦女暴行を行なうという事件が発生した。これ以外にもシリアの紛争地域から逃れてきたという人々は、幾度も生死の危険に曝される経験をし、彼ら自身の心も荒廃し、暴力沙汰に及ぶと言う事件は無数に起きているのではなかろうか。

③ こうしたことを考えれば、受け入れ側の住民が受け入れ拒否となることは当然のことと理解できる。しかし、デモや暴力によって憂さ晴らしをしても、事態の好転にも解決にもならない。ここはどちらも冷静になって事態の解決のための方法を探るしかないと思われる。

④ しかし、こんなことも、現地から遠く離れた日本に居るから言えることで、現地の当事者には、そんな暢気なことは通用しないということかも知れない。ましてイスラム教徒とキリスト教徒という宗教を異にする社会の間では、相互の理解と妥協は容易なことではなく、私如き老骨の考え及ぶことではないようである。

ramtha / 2016年5月16日