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二月十日 「HAKUTO(白兎)頑張れ」

今日の毎日新聞には論説委員中村秀明氏が「白いうさぎの夢」と題する次のような一文を書いている。

世界の子ども百万人の夢を刻んだタイムカプセルを月へ送り、その中の誰かが将来地球に持ち帰る。そんな計画がある。
大塚製薬などが呼びかけ、神奈川県の町工場もカプセルの設計製造に加わっている。米企業が手がけるロケッ卜と着陸船を使って、今年後半の月面到着を目指す。

この着陸船は他にもさまざまな実験や研究をする。日本製月面探査車両の走行もその一つ。民間組織「HAKUTO(白兎)」の計画だ。「映画『スターウォーズ』に出てくるような宇宙船を造りたい」との夢を子どもの頃に描いた袴田武史さん(三六)がチームリーダーを務める。

この探査は世界的な賞金レースの形式をとっている。二〇一七年末までに「純民間開発の探査機を月面に降ろす」「月を五百m移動する」「高画質の月面映像を地球に送る」という三つの課題を最初に達成したところに、賞金二千万ドル(約二三億円)が贈られる。スポンサーの中心は米グーグル社だ。

当初は世界三十チーム以上が名乗りを上げたが、脱落や合同で十六に絞られた。米国、ドイツ、インド、イスラエル、そして日本のHAKUTOが有力という。

開発は、小惑星探査機「はやぶさ」にかかわった吉田和哉・東北大大学院教授の研究室が中心になった。車両といってもHAKUTOの場合、小さめの段ボール箱程度で、重さ四kg。軽くて強い炭素繊維を多用した四輪車で構造はできるだけ単純にした。参加チーム中、最も小型軽量で壊れにくい。まさに「メード・イン・ジャパン」である。

「軽くて小さければ打ち上げ費用は安くて済む。仕組みが簡単なほど月面でも故障が少ない」と袴田さんはレ-スの勝利に自信をのぞかせる。しかし、賞金で元がとれるわけではない。

その狙いはもっと大きい。実績の無い小さなベンチャーの大きな挑戦が注目されることで「新たな技術開発やビジネス創造の動きに火をつけたい」と語る。そして自らは小惑星での資源探査を十年後をめどに事業化する第一段階と位置づけている。

袴田さんの夢は、志望大学への三度の不合格と他大学の畑が違う学部入学でついえかけた。テニスサークルに入って遊んでいた彼だが、ある時「もう一度、航空宇宙工学に挑戦しよう」と思い直し、今につながった。やはり、あきらめてはいけないのだ。

車両は十七日から伊勢丹新宿店で展示され、操縦体験も予定されている。

こんな楽しい月面探査コンクールが企画されているなど、これを読むまで、ちっとも知らなかった。最近の二ユースといえば、世界各地での紛争、北朝鮮のミサイル打ち上げ、イスラム過激派のテロ、観光バスの転落事故など物騒な事件や、婦女暴行、幼児虐待など目を覆たくなるようなことばかり。そんな中で久しぶりの楽しい話題で私の気持ちまで、すっかり明るくなった。

昭和初期、私の子どもの頃は、お月さんでは、兎が餅つきをしてるなどと言って眺めるばかりであった。たまに空を行く飛行機の姿を見つけても、軍用機ばかりで、民間人が旅行に利用することなど考えられなかった。それにしても、今度のレースではメイド・イン・ジャパンのHAKUTOが有力とは心もわくわくするではないか。

折角この話題を聞くことができたのだから、私の生きているうちに成功して貰いたいものだが、九四歳を目前にした老骨には無い物ねだりと言われても、しかたがない。

ramtha / 2016年5月16日