筋筋膜性疼痛症候群・トリガーポイント施術 ラムサグループ

五、事務用品・文房具など(② 複写・謄写版印刷)

② 複写・謄写版印刷

書類の写しを作るのに、今は便利なコピー機があり、白黒はもとより、カラーコピーでも即時に何枚でも手に入れることが出来る。

昔は力ーポン紙を和紙の間に挟み、上から強く押しつけて字を書くことで、同じ文書を複数作成したものだが、力の強い人でも六枚も七枚も複写するのは容易なことではなかった。

今日でも、宅配便の依頼書や現金送金の表書きなど、三~四枚の複写になっているが、年とともに握力の衰えた私などが書くと、一番下のりーフなどは、やっと判別出来る程度にしか写って居ない。だから多人数の会議のときなど、配布する資料を準備するのに、ずいぷんと苦労させられたものである。

私が初めてコピー機に出会ったのは、昭和四十六年のことであったと思うが、当初の機械は白黒複写のみで、拡大・縮小の機能も無かった。今ではたいていのコンビニに最新式のコピー機が備えられていて、音声を伴う機械の指示に従って操作すれば、白黒はもとよりカラーコピーから拡大縮小まで、私のような老人でも人手を借りずにコピーが出来る。

昔は多くの人に配布する文書や、学校での試験の問題用紙などは、謄写版(トウシャバン)で印刷していた。
謄写版は蝋(ロウ)引きの原紙を鑢(やすり)板にあてがい、これに鉄筆で文字や絵を書いて蝋を落とし原版を作る。このとき鉄筆と下に敷いた鑢板とでガリガリと音がするので、俗にガリ版刷りとも言われた。この蝋の落ちた部分からインクをにじみ出させて印刷するのだが、一字一宇間違いなく原紙に書くのは根気の要る作業である。

書き損じたときは、蝋燭(ロウソク)を垂らして修正することも出来ないわけではないが、綺麗に仕上げるには相当の技術を要した。昭和三十年頃まで麻生本社には、ガリ版切専門の社員が一名居たし、軍隊の事務室勤務者の中にもガリ版切りのプロが居た。

なお、謄写版で印刷するときは、先ず書き上げた原紙を印刷台の枠に取り付ける。次に塗装用のローラーと同様の持ち手の付いたローラーにインクをつけ、原紙の上から押しつけ転がして、下の用紙に印刷するのだが、これは子供でも出来るので、小学生の時、友達と二人で、先生のガリ版刷りの手伝いをしたことがある。一人がローラーを押し回し、一人が印刷台にセットされた用紙を捲(めく)る簡単な作業だったが、自分たちが印刷した書類がみんなに配られるとき、いささか誇らしげな気分になったことが思い出される。

ramtha / 2016年5月14日