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八月一日 「インドのカースト」

昨日の毎日新聞にはネール大学教授ビベーク・クマール氏がインドのカーストについて、次のように書いておられる。

インド紙の日曜版に掲載される求婚広告には、必ずカーストが言及されている。異なるカーストの異性と結婚したため殺害される「名誉殺人」もたびたび発生している。カーストは政治や経済、宗教など多様な分野で重層的な差別を生み出し、インドの発展の障壁となっている。

農村部では被差別カーストに居住の自由がなく、決められた場所に住まなければならない地域もある。埋葬場所も上位カーストとは明確に区別され寺院にも入れない。濃淡の差はあるが、都市部でも構造的なカースト差別が存在する。上位カーストは政治や行政、司法、メディア、高等教育など多くの分野で権力を独占している。

例えばモディ政権は閣僚の多くが(最高位カーストの)バラモンだ。低カースト層は教育を受ける機会が少なく構造的に排除されてしまう。

インドには公務員の採用や大学入試で一定枠を低カーストに割り当てる「留保制度」がある。だが最近、ハリヤナ州の「ジャート」やグジャラート州の「パテル」などの有力カースト集団が「逆差別だ」と主張し、自分たちにもこの制度を適用するよう求めてデモを行った。これらの集団は多数派で経済的に豊かにもかかわらず、権力を独占しようとしているのだ。だが、上位カーストが特権を手放さなければインドは真の民主国家になれないだろう。インドと関係の深い日本にとってもカーストを理解することは重要だ。例えば日本がインドの奨学金を支援するとしよう。もしインド側の受け入れ機関が上位カーストに支配されていれば、本当に必要とする人たちに支援が屆かず、日本がカースト差別に加担することになってしまう。

インド系移民が多い英国ではカースト差別を禁じる法律が準備されているし、国連も差別を批判する報告書を出した。カーストは今や世界的問題なのだ。

なお、そこには次のような「カースト制度」の用語解説がされている。

カースト制度=生まれにより階級が決まるインドの伝統的身分制度。大きくバラモン・クシャトリア・バイシャ・シュードラと被差別階級の不可触民に区分され、その中に「ドービー(洗濯屋)」・「ロハール(鍛冶屋)」など数千の個別のカースト集団がある。伝統的な職業に由来するカースト名が多いが、現代では必ずしも職業を世襲するわけではない。他カーストとの結婚や食器の共有などは原則として避けられる。

① 前にもインドの力ーストに触れたことがあったが、その時はあまり関心が無く、もう忘れていた。しかし、こうして改めてこの問題に接してみると、まだこんな国があるのに驚いた。しかも人口では、中国と肩を並べる国インドでのことに二度びっくりした。

② 日本でも江戸時代までは、士農工商という身分制度があり、非人(ヒニン)穢多(エタ)と言われた賎民身分の人が居た。

広辞苑の説明によると、日本の穢多は、牛馬の死体処理などに従事し、罪人の逮捕・処刑にも使役された。江戸幕藩体制下では、非人とともに士農工商より下位の身分に固定、一般に居住地や職業を制限され皮革業に関与する者が多かった。一八七一 (明治四)年太政官布告により平民の籍に編入された後も社会的差別が存続し、現在なお根絶されていないという。

③ そう言えば、昭和初期の私の子供の頃にも、「非人」「穢多」と言う言葉が使われていたし、戦後会社で同僚の一人が、恋愛した相手が「旧被差別階層」の家庭の女性であったため、結婚を諦めた例もあった。また炭坑の周辺には昔の「被差別階層」の人々の住むいわゆる「部落」があった。

④ しかし、被差別層の人は別として、日本の身分はそれほど厳密なものではなかったようで、太閣秀吉は織田信長の草履取りから天下人になっているし、御家人株が売買の対象になった話もある。また欧米諸国でも昔は身分制度があったようだし、後進国の中には今も存在している国もあるようである。

⑤ ところで今の中国ではどうなんだろう。いわゆる身分制と言われるものは無いようだが、共産党員と一般人とにはいろんな区別があるようだし、同じ党員でも習近平のような中央幹部と平党員とでは、雲泥の格差があるようである。

⑥ 最も民主的と言われるアメリカには、白人と黒人やヒスパニックなどの人種差別があり、また会員制のクラブやレストランでは、「会員外の入場お断り」の表示をしているところもあるようだ。

⑦ こうしてみると、口では万人平等を唱えながら、人間というものは、本能的に差別を求めているように思われをわれるが、どうだろう。

ramtha / 2016年8月21日