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十月三日 「ハンガリーの国民投票」

一昨日の毎日新聞の社説では「自国エゴの連鎖が怖い」と題して、ハンガリーの難民受入れについて、次のように論じている。

中東からの難民を分担して受け入れようとする欧州連合(EU)の「割り当て」政策を受け入れるべきか、東欧のハンガリーで明日行なわれる国民投票は、欧州統合の基盤を掘り崩す危険性をはらんでおり、その行方が懸念される。

英国は今年六月の国民投票でEUからの離脱を決めた。
一方、ハンガリーの国民投票は、EUにとどまりながら、EUの政策を「民意」を盾に拒否しようとオルバン政権が画策したものだ。有権者の過半数が投票し、投票者の過半数が「受け入れ拒否」を支持すれば政権の勝利となる。事前の世論調査を見る限りでは、そうなる可能性が高い。

欧州には昨年、百万人を超える難民が流入した。
昨年九月、EUはまず約十六万人の難民を各国に割り当てることを決めたが、現段階で受け入れられたのは約五千人にとどまる。ハンガリーなど東欧諸国が割り当てに強く反発していることが受け入れが進まない大きな理由だ。

第二次大戦後、多くの移民や難民を受け入れてきた西欧諸国に対し、冷戦終結後にEUに新規加入した東欧諸国は難民受け入れの経験が乏しい。昨年は西欧を目指す難民の通過地となり、鉄道駅や道路が難民に一時占拠されるなど社会に大混乱をもたらした。難民の多くがイスラム教徒で、受け入れによってキリスト教に根ざす伝統的な社会の変容を懸念する国民の不安も理解できる。

とはいえ、ハンガリーなど東欧諸国はEU加盟で経済的に大きな利益を得てきた。加盟から十年たちEUの一員として「いいとこ取り」は許されまい。政権には、戦後欧州が目指してきた寛容な社会づくりへ国民を説得する責任があるはずだ。

ところがオルバン政権は違うようだ。社会の「右傾化」を背景に二〇一〇年の総選挙で大勝し、ハンガリー民族の歴史と伝統の偉大さを前文にうたう憲法改正を実現した。今回も難民の脅威を誇張して国民の不安をあおってきた。経済政策の行き詰まりから国民の目をそらし、独裁的な政治手法への批判をかわすために国民投票を政治利用しようとしているのであれば無責任だ。

ハンガリー国民投票の結果は、他の欧州諸国の反EU極右勢力を勢いづける可能性もある。自国の主張を通すために、法的根拠も乏しい国民投票が各国で乱用されるようになれば、EUの結束は乱れ、難民政策にとどまらず、あらゆる統一政策が立ち行かなくなる恐れもある。

EUと加盟各国首脳は、こうした「自国エゴ」の連鎖を食い止めなければならない。ハンガリーには、EUに加盟した当時の理想と気概をもう一度、思い起こしてほしい。

この論説を読んで感じたこと、考えたこと、新たに疑問になったことなど、書き留めることとする。

① 近年のアフリカからの難民移動は、物凄い数であるようだ。EUが受け入れを決定したのは、ドイツのメルケル首相の主導によるものと聞いている。労働力補充を目的とすると言う噂もあるが、いずれにしても、その決断には驚いたことである。

② だから難民受け入れを、EU加盟国がよくぞ納得したものだと思っていた。ハンガリー国民がこれに反対するのは、EU参加の経緯からすると身勝手と言われても仕方がないかも知れないが、旧ソ連の支配から脱却し、やっと手に入れた平穏な日常生活が攪乱されるのでは、無理もないことと思われる。

③ なお、難民の中にはヨーロッパ諸国の豊かな生活を目指して来る経済移民も少なくないと聞いている。また、ドイツでは受け入れた難民がトラブルを起こしているとも伝えられている。それが事実なら、難民救済にたじろぐ気持ちも理解できる。

④ 日本は地理的に遠隔の地にあるため、まだ難民受け入れを免れているが、アジア各国など近隣から難民が押し寄せる事態となったらと、想像するだけでも恐ろしい。
国土も狭く人口密度は今でさえ高い。また生活習慣の違いは殊に激しい。それを思うと、そういう事態の無いことを願うが、そのような時のための心構えと対策が必要ではないか。

ramtha / 2016年10月23日