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十月五日 「『根回し』に違和感」

今朝の毎日新聞では、昨日の東京都都議会に関する記事の書き出しを、次のように書いている。

東京都の小池百合子知事が初めて臨んだ四日の都議会代表質問は終始、小池知事ペースで進んだ。慣習に従わずに事前の答弁調整を拒否する「なれ合いや根回しなし」の姿勢を明確に打ち出し、都政改革の意思を改めて印象づけた。

この文章の中の「根回し」という語句の使用に付いて、私は違和感を感じた。この文章では「根回し」を「馴れ合い」と同列に使われている。

「馴れ合い」は「ひそかに示し合わせている」ことで良からぬ隠微な印象を与える言葉である。これと同様なレベルに使用されているのは「根回し」に対して失礼ではないか。

私は現役時代に麻生産業(株)の人事担当者として、社員の人事異動にしばしば携わって来たが、その際、事前に、受け入れ・送り出し双方の所属長の了解を得る「根回し」を行なってきた。発令後に異論が出ては、会社の権威は失墜し、本人はもとより関係者一同に多大な迷惑をかけ
ることになるからで、人事異動には、事前の「根回し」は、絶対に必要なことである。そんな大事なことを「馴れ合い」と同様に考えているとは驚いた。

しかし、言葉は時代とともに変遷するものでもあるから、現役を退いて約半世紀、「根回し」の意味も変わったのかも知れない。念のため広辞苑を開いてみたが、そこには

根回し:
①大木を移植する一~二年前にその周囲を掘って、側根の大きなものと主根とを残し、その他の根を切り、細根を発生させ、移植を容易にすること。果樹の結実を能くするためにも行なう。

②比喩的に、あることを実現しやすいように、あらかじめ周囲の各方面に話をつけておくこと。

とある。

これで私は一先ず安堵したが、今の新聞記者がこういう使い方をし、編集長がそれを認めているということは今日の若い世代では、戦後の欧米文化の流入で、「根回し」も「馴れ合い」と同様な蔑(さげす)むべき風習とされているのかも知れない、と反省した。換言すれば、「馴れ合い」とか「根回し」とか言うのは、それに応ずる人が居なければ成り立たぬことで、欧米のような多民族が混在する世界ではあり得ないことで、日本独特のものではないかという気がした。

そこで手元のニューセンチュリー和英辞典で、相当する英語を調べてみたが、「馴れ合い」も「根回し」も日本特有の風習のようで、やはり適切な英語は無かった。

こう考えてくると、日本でも「根回し」は、我々の世代を最後に、滅び行きつつあるのかも知れない。

ramtha / 2016年10月23日