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十一月八日 「中国でのデモ」

先月の新聞を整理していたら「退役軍人はつらいよ」と題して坂東賢治氏の次のような一文が目に留まった。中国でのデモとは珍しいことだから、転記する。

習近平国家主席が肝を冷やしただろう。今月十一日に中央軍事委員会や国防省など、軍機関が入居する北京の「八一大楼」ビル周辺に迷彩服姿の退役軍人ら数千人が集まった事件のことだ。

八月に中国の軍系サイトに「クーデター防止が今後、特に注意すべき政治工作だ」と題した論文が掲載された。
共産党政権が、政情不安への懸念を吐露したと、話題になった。

武器を持たないとはいえ、軍服の集団が厳戒体制の政権中枢に近づいたのは気持ちの良いことではあるまい。

いったい何が起きたのか。中国もスマーフォンやインターネットの普及で情報封鎖は困難な時代だ。ネット上には退役軍人らがスマホで撮影した映像が流布している。
クーデターとは程遠く、長年、積み重なったひずみが顕在化したというのが実態だ。映像が示すのは、待遇改善を求めてきたものの、何の進展も見られないことに業を煮やした老兵らの叫びだ。

中国には「信訪(シンポウ)」と呼ばれる陳情制度があり、北京の国家信訪局が対応する。これまでも地方から北京詣でを重ねる退役軍人は少なくなかった。だが、今回は知恵者がいたのだろう。省を超えて参加を呼びかけ、軍服をそろえて統一行動で圧力を強めた。

大規模な集団での陳情や政権中枢での抗議デモは違法だが、当局は穏便な収拾を優先した。夜間、地方政府幹部が話し合いのために北京に向かっていると参加者に告げ、冷静な対応を求める当局者の姿も、映像に残されている。

鄧小平氏が一九八〇(昭和五五)年に「百万人の兵員削減」を打ち出して以来、歴代指導部は退役軍人の処遇に頭を悩ませてきた。国有企業に再就職を割り当てたり、起業資金を援助したりした。しかし、市場経済化が進むと、効率優先で退役軍人を冷遇する地方政府や企業も現れた。国民全体の所得が向上する中、退役軍人の年金の給付水準は低く、社会保障も不十分だ。腐敗も根深く、不公平感が募る。

そこに習主席が昨年、表明した「三十万人兵員削減計画」が動き出した。今年度は五万八千人が対象という。

現政権にとってはこちらが優先課題だ。公務員の採用や再就職援助などの優遇策が検討されている。「我々を忘れるな」というのがデモ参加者の気持ちではないか。

習主席は経済成長にブレーキがかかる中、「負の資産」と「新たな課題」の双方に対応を迫られる。建国以来という軍改革を進める習主席だが、足元は盤石ではない。

これを読んで、初めて知ったこと、疑問になったこと、考えさせられたことなど、思いつくままに書き留めることにする。

① 中国には全部でどれだけの現役軍人が居るのだろう。海軍はまだそれほど多くはないと思われるから大半が陸軍だろうが、国防のためには、それほど多くは要らないに違いない。中国に戦争を仕掛ける国があろうとは思われない。おそらく国内の少数民族や不満分子の反乱に備えてのことと思われる。

② 民主主義国家であれば、議会の与野党の論議で解決が図られるか、少なくともガス抜きが行われるが、共産党独裁では議会の討議は、中国共産党の存立基盤を揺るがしかねないのではないか。

③ 日本では一億三千万の国民を統治するのに安倍さんが日夜頭をなやましているが、総人口十三億の中国を束ねていくのはとてつもなく難儀なことで、細かい心遣いなどしていられないというのが現実の実態で、中国共産党独裁の手荒い処置は避けられないことに違いない。

④ こうしてみると、膨大な人口と多数の民族を抱える中国に、民主主義政治を期待するのは、無理な話ではないかと思われるが、どうだろう。

ramtha / 2016年12月17日