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十月三十一日「信念」

昨日の毎日新聞の社説に「朴裕河教授に逆転有罪 学問の自由を侵す判断だ」と題して、次のような文章が掲載されていた。

慰安婦問題を扱った著書「帝国の慰安婦」で、名誉毀損に間われた韓国・世宗(せじょん)大の朴裕河(ぱくゆは)教授に、ソウル高裁が逆転有罪判決を下した。
大きな支援力を持つ支援団体に後押しされた元慰安婦の告訴を受けて、検察が二年前に在宅起訴した。今年一月の一審判決は「意見の表明にすぎない」などとして無罪だった。

控訴審判決は一転して、名誉毀損の意図を認定した。根拠とされたのは、不正確な引用を含んでいると指摘される一九九六年の国連報告書(クワマラスミ報告)などだ。
名誉毀損の適用基準が国によって違うことは、理解できる。

しかし、朴教授の著作は、植民地の女性を戦場に動員した「帝国」というシステムに着目した学術研究だ。朴教授は「多くの少女が日本軍に連行された」という画一的イメージを否定した。一方で、慰安婦を必要とした帝国主義日本に厳しい視線を向けている。実際には業者が慰安所を運営していたとしても、そのことで日本が免罪されるわけではないと明快に主張した。

日韓ナショナリズムが衝突する状況から脱し、和解へ進む道を模索する意欲が読み取れる。それを否定するのは学問の自由を侵す判断ではないか。極めて残念である。

日本の植民地支配に起因する問題に対して、否定的な見方が韓国社会に多いことは不思議ではない。だが、感情論や政治性を排した歴史研究は、不幸を繰り返さないために重要だ。世論の反発が強い分野でこそ、学問や表現の自由は守られなければならない。

慰安婦問題は外交的にも敏感な懸案だ。特に、朴極恵(ぱくくね)前政権の前半期は、日韓関係全体を悪化させた。一昨年末の日韓合意でやっと状況が変わり、両国の安全保障に緊要な対北朝鮮政策で、スムーズに進むようになった。

それでも、韓国には合意への反対論が根強い。文在寅(むんじぇいん)大統領は、合意見直しを選挙公約としていた。当選後は「見直し」を口にしなくなったものの、日本側には、文政権の進める合意の検証への、警戒感が強い。

今回の判決は韓国内の合意否定論を勢いづけかねない。文政権には、日韓の感情的対立を再燃させないよう留意してほしい。

この論説を読んで、初めて知ったことも少なくないが、気になったことなど、書きとめておく。

①慰安婦などの女性は、合法、非合法にかかわらず、人間社会には、つきものである。軍隊駐屯地はもとより、平和な街にも夜の女は、世界各地に存在する。

今は、どうなっているか知らないが、ドイツでは、娼婦に住民登録や所得税その他の税金を課していると聞いたことがある。

ものの本では、人間社会には、賭博や窃盗・殺人と売春は、永久に無くならないとも、記してあったのを記憶している。

②どの民族でも、中には聖人君子も居れば、極悪人も居る。また、一人の人間が社会に益する善行を行なうこともあれば、殺人のような凶悪犯罪を侵すこともある。人間とは大多数が、そんな弱い存在である。

③国が一旦、外国と約束したことは、政権が交代しても守られるものと思っていたが、これを見ると、韓国人とは約束を守らない民族かと考えさせられる。

しかし、昭和二十年八月、不可侵条約を一方的に破棄して、旧ソ連軍が、北方領土に侵入・占領し、未だに返さない。あるいは、アメリカのトランプ大統領が、オバマ前大統領の政策をことごとく覆そうとしていることなどを見ると、国際的約束も、力の前には無力であることを認めざるを得ない。

④今回の韓国も、その中にあると理解すべきかも知れないが、韓国民の感情には、かつて朝鮮半島を支配した日本に対する特別の反感があり、それは半永久的に無くならないと覚悟すべきことだろう。

⑤どうも、人類紛争の種は、正義と宗教にあるようだ。十一~十二世紀の十字軍、十六世紀の三十年戦争などを初め、多くの戦争は宗教や正義など、人間の信念を守り通そうという強い意志の産物のようだ。

信念は自ら信じることで、他人と話し合いをして譲れるものではない。信ずるものを異にする者同士では、戦って相手を倒すよりほかに解決の道は無い。

⑦もともと、人間である教祖が作った宗教を信じることに疑いを持つ人間が、信者の心理に疑念を抱くように、新旧いずれにしろキリスト教を信奉する人々は、大半が無宗教の日本人の宗教観は、理解し難いことだろう。

ramtha / 2018年3月31日